昔、あるところに貧しい母娘がいた。小さな畑を必死に守って暮らしており、娘も器量がよかったが、着飾ることもできなかった。近くの毘沙門天様で初寅様があり、同じ年ごろの娘はみな連れ立ってでかけた。娘は出ることもなかったが、いった男から「福」を貰った。中を開けると中には大判が入っていた。

男は長者の息子で、美しく信心深い娘にひかれていたが、身分違いでとても添い遂げられるものではなかった。男は初寅にいかない娘にせめてもの「福」と思ったのだが、福とは何か難しい。

そう思って歩いていると竹藪の中で数匹の子猫がいるのが見えた。逃げもしなかったので捕まえて、その子猫を連れて行ったのだった。

娘に大判のことをいわれ、男は驚いた。しかし、毘沙門天さまが、信心深い娘にお授けくれたのだということになった。それから母子の暮らしぶりもだんだんよくなり、娘は長者の家に御嫁入することになった。
おん べいしらまんだや そわか