妙正寺は正しい名を龍経山妙正寺といいます。名前を聞いた時、ふと竜脈を思いだしました。竜脈というのは、風水で大地の気の流れをさします。竜脈は大地のエネルギーの豊富な所で、形を持たないものを祭ってある場合があります。それが時を経て、寺社になる場合は多いです。そうなると場所そのものの神聖さや、邪悪さは影を潜め、のどかな信仰の地となっている場合が多いです。多きいところでは高野山などがそうですね。
 さて、そのように連想しました妙正寺にはこんな縁起が伝わっています。日蓮が近隣の人々に百日の説法をしていた時、一日も欠かさず聴聞に通ってきた女性がいました。最後の日、その女性は日蓮に手書きの本尊と自分の法号、法華経を望みました。日蓮はその願いを受入れ、曼茶羅(本尊ですね)と法華経を与え、「妙正」という名を与えました。その女性の事を誰もしらないことを人々は怪しみ、後をつけます。恐ろしいですね村社会。それに気付いた女は逃げていきます。すると追い続けるうちうにその姿は鱗が生え、気付けば竜身に変わっていきます。次々と経を落とし、ついに近所の千足池のところで姿を消します。そして傍らの桜の木の枝に曼茶羅が。追いかけた人々は、女性が千足池の霊であることを知り、池辺に妙正大明神として祀り、それが妙正寺の前身となったのです。
 さて、その法華経を安置した塚は七経塚と呼ばれており、現在は妙正寺にあります。曼茶羅を掛けた桜の樹の皮は、疱瘡の解熱に霊験があると伝えられます。
 そこで最初の話を思い出してほしいのですが、これはもともとあった信仰(池の主・病の治る桜)に、日蓮伝説と混じった事でできた物語なのではないでしょうか。ちなみに日蓮が女性の正体を看破すると、法華経を奪い逃げたというバージョンもありますが、そちらの方が妖怪っぽいですね。