ある男が、長年の宿願だった観音像を奉ろうと思い、都の仏師に作って貰う事を頼みました。仏師は、慈悲の心があり、幼いころから観音様を篤く信仰していました。観音様の功徳か、仏師はとても美しい像を造りあげました。
仏像を持って男の家に届けると、仏師は褒美を与える事にしました。それはとてもいい馬でした。仏師はとても喜び、褒美の馬に乗って都に帰って行きました。
馬がいなくなってみると、男は馬が惜しくなりました。そこで家来に仏師を射殺し、馬を取り返してくることを命じました。
家来は待ち伏せし、命じられるままに仏師に矢を射掛けました。背中から貫いた矢によって仏師は倒れ、馬を奪い、家来は戻りました。
馬を取り戻したものの男は、不安に思いました。そこで家来に都に様子を見にいかせます。
家来が都にいくと、仏師は生きていて、取り戻したはずの馬もいるのです。
家来はあわてて屋敷に戻ると、男にその事を告げます。馬小屋に行くと馬はいません。そして観音様を納めた厨子を開くと、その胸は矢で射抜かれたように血が流れていました。

この射られた観音像は、京都の穴太寺に祀られています。

ところが同じ伝承が船橋の藤原観音堂にも残っているのです。

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では藤原にあるのは何かともうしますと、同じ木から作られた同じ仏師の作だそうです。そのせいで、どこかで伝承が変わってしまったのかもしれないですね。

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