無間鐘 漢文遊方名所略
 観音寺という寺に鐘がある。ある者は言う。「来世無間地獄に堕ちるとも悔やむべからず、ただ現在の福を得ん。かくの如くに念ずと。この鐘を撞けば必ず富貴を得る」。この事が広まってしまい、鐘をつくもの夥しく、隠してしまった。

無間の鐘 諸国里人談
 遠江国佐夜中山道から三里北に光明山がある。この寺の鐘を撞く人は必ず福徳を得て富貴になるが、来世は無間地獄に落ちるという。今は土中に埋められており、撞くことができないが、貪欲な人は鐘の埋まっている上で足を踏み鳴らす。

無剣の   三浦半島民俗の一片
 無剣山という寺のをつくと長者になれるという伝説があった。文右衛門という男は寺を訪ねた。住職は、握飯を池に入れて見せた。すると飯粒一つ一つが蛭になっていった。このように死後蛭に苦しめられてもかまわれてもいいなら、ついても構わないと問うた。文右衛門は鐘をついた。その後、長者になって、豊かに暮らし。大往生した。ところが出棺の時には棺が軽く、門の前に片腕が落ちていたという。

三浦三崎の「でつと」その他
文右衛門はその様が恐ろしくて、をつかなかった。だが、その後長者になった。しかし、年老いると飯が蛭に見えて食えず、餓え死にしたという。